「研究以外の分野に興味が湧いてきたけど、研究職から転職できる?」
「研究辞めたいけど、研究職以外への転職は無理かも…」

研究職から異業種への転職に対して不安に思い、あきらめてはいませんか?たしかに、研究職から異業種への転職は難しいと言われています。

異業種への転職が難しい理由は明確にあり、それを解決して転職を成功させるコツもあります。そのコツを意識して転職活動すれば、研究職もキャリアチェンジを実現できます。

本記事では、研究職からの異業種への転職が難しい理由と成功させるためのコツを紹介します。

内田 雄介

大学院修士課程を修了後、化学メーカーに研究開発職として2年勤務
→退職・webライター
資産運用をはじめとしたお金に関する知識を勉強・実践しています。2021年9月からつみたてNISAの運用、2023年4月からiDeCoの運用を始め、現在も継続中。

    研究職から異業種への転職は難しい2つの理由

    研究職から異業種への転職が難しいと言われている理由は2つあります。

    • 知識・経験が異業種の転職先で役に立たない
    • 実績を数字で提示しづらい

    知識・経験が異業種の転職先で役に立たない

    異業種へ転職する場合、研究職で培った知識・経験はほとんど役に立ちません。

    研究職は一つの分野への探究が求められるため、培える知識・経験は分野に特化したものがほとんどです。営業や経理のようにどの業界でも通用する知識・経験は、研究職では身に付きません。

    医薬品メーカーの研究職が半導体メーカーへ転職する場合、医薬品の合成に関する知識・経験は必要とされません。むしろ、半導体の開発に関する知識・経験が求められるため、他の職種はもちろん、研究職としての採用も難しくなります。

    中途採用は、即戦力として活躍できる人材が求められます。研究職は培った専門的な知見を異業種で活かせないため、転職が難しいと言われています。

    実績を数字で提示しづらい

    研究で成果を上げるには、長い年月かける必要があります。そのため、研究職はほかの職種と比べると、実績を具体的な数字で提示しづらいと言えます。

    根拠となる数字を提示できないため、自分の強みを十分にアピールできず、面接官への説得力に欠ける自己PRになります。

    営業職の場合は「成約件数」「対前年比実績」、Webマーケティングでは「PV数」「売上高」など数字として提示しやすいと言えます。一方、研究職は「従来品との性能の差」のような数字を示せる実績を挙げるには、時間がかかります。

    ポテンシャル重視の第二新卒の場合を除いて、実績がない人の異業種への転職の難易度は高くなります。

    研究職から異業種への転職を成功させるポイント3選

    研究職が異業種への転職を成功させるポイントは3つあります。

    • 異業種への転職理由を明確にする
    • 異業種でも活かせる強みを洗い出す
    • 志望する転職先の研究

    「異業種への転職は難しいのでは…」と感じる人も多いはずです。これから解説する内容を意識して行動すれば、ライバルより有利に転職活動を進められます。

    異業種への転職理由を明確にする

    どの業界・職種での転職活動においても、転職理由を明確にすることが必須です。とくに異業種への転職の場合、これまで培ったものを捨ててまで転職したい明確な理由を、面接官に説明することが重要です。

    異業種への転職理由が曖昧だと「研究職が嫌で逃げてきたのかな?」とマイナスの評価を受けてしまいます。

    まずは、「実用化までのスパンが長く、社会に貢献している実感を持てない」「チームで動くので、自分の仕事の企業への貢献度は小さい気がする」など研究職から異業種への転職の動機を準備しましょう。

    転職先の業種・職種を選んだ理由を用意することも大切です。転職希望先が営業職の場合は「企業の業績に直接反映される仕事をしたい」、コンサルタント職の場合は「企業の発展に貢献できた実感を得たい」などが考えられます。

    異業種でも活かせる強みを洗い出す

    研究職で培った経験から自分の強みを洗い出しましょう。論理的思考やプレゼンスキルなど異業種でも活かせる強みがあると有利に転職活動を進められます。

    研究職で携わってきた業務内容、上司や同僚に評価されたことなどを振り返ってみましょう。

    「スライド・報告書などの資料がわかりやすい」と評価される場合、「筋道立てて説明できる」といった強みがあります。

    研究職は実験・分析以外に実験計画立案のための論文調査、信頼性の高い情報のピックアップも業務で行っています。このような環境下で日々過ごしているため、情報収集力が備わっていると言えます。

    弱みと思っていることも視点を変えれば、強みにもなります。たとえば、「行動が遅い」と上司や同僚から言われる場合、慎重な性格で一つひとつの工程を丁寧に作業する人とも捉えられます。

    志望する転職先の研究

    研究職から未経験の異業種へ転職を成功させるには、志望する転職先の研究が必要です。この作業を疎かにすると、企業に対して自分の強みを十分にアピールできず、採用に至らないからです。

    志望する転職先の業界や職種、求人の募集要項を調べて、企業が求めている人材を把握することが重要です。

    化学メーカーの営業職に転職希望の場合、専門性よりも論理的思考やコミュニケーション能力が求められます。面接時、専門分野への深い知識や論文掲載、学会発表などの実績のみをアピールしても面接官には響きません。

    分野が異なるメンバーへの説明、他部署や社外の人との交流などを経験したことで、論理的思考、コミュニケーション能力が培われたとアピールするほうがより効果的です。

    異業種でも活かせる研究職のスキル3選

    異業種でも活かせる研究職のスキルを3つ解説します。

    • 論理的思考
    • 仮説思考
    • 情報収集

    数年以上研究職として働いてきた人は、どの業種でも活かせる汎用性の高い上記3つのスキルが培われています。

    論理的思考

    研究内容のプレゼンや研究における課題の解決などで求められる論理的思考はどの業種・職種でも必要とされます。

    プログラマーの場合、正常に動作するプログラムを組むときに役立ちます。コンピュータに出す指示が曖昧で論理が飛躍していると、エラーの原因になります。コンピュータが理解できるプログラムを組む上で論理的思考は必須です。

    コンサルタント職では、自身が提案する施策を実行することで顧客の課題解決につながることを分かりやすく説明するときに役立ちます。施策を実行するメリットを顧客に納得してもらえるため、提案の承認につながります。

    仮説思考

    集めた情報を基に「起こりうること」を予想する仮説思考は、迅速で的確な解決策の立案において重要です。このスキルは研究職以外でも求められます。

    マーケティング職においては、商品開発や販促施策の方向性の検討時に役に立ちます。販促における狙い目のエリアの選定や商品開発における潜在ニーズの探索などで、市場データを始めとした情報から的確な対策ができます。

    品質管理では、不良品や製造工程でトラブルが発生した際、迅速な解決へと導く際に役立ちます。問題が生じたときの状況から確からしい原因を探れるため、解決に至るまでの試行回数を減らせます。

    情報収集

    研究テーマに関する論文や特許などの情報を集めるとき、どんな情報が必要かを考えて、時間をかけずに集めることが求められます。効率よく仕事するうえでは必須のスキルです。

    マーケティング職の場合、ターゲットのニーズ発掘をする際に役立ちます。時間をかけずに必要最低限の情報のみ集められるため、競合より早く施策を打ち出せます。

    営業職では、顧客が抱えている課題を見つけ出す際に役立ちます。業界トレンドや競合他社の情報から必要なものを抜き出せることで、潜在ニーズを素早く発掘でき、ライバルに先んじて営業ができます。

    おすすめの研究職からの転職先5選

    研究職から異業種へ転職を希望する人におすすめの転職先を5つ紹介します。

    • マーケティング職
    • コンサルタント職
    • 営業職
    • プログラマー
    • 品質管理

    上記5つの転職先は、研究職で培った経験を十分に活かせる職種と言えます。

    マーケティング職

    マーケティング職は、市場調査や商品・サービスの企画・販売などを実施する職種です。市場データを基にした商品・サービスの企画や広告戦略の検討をする際に、論理的思考・仮説思考を活かせます。

    マーケティング職は自分が考えた施策により企業の業績やブランド認知度に直結するため、企業の成長に貢献している実感を味わえます。

    施策の結果がPV数やCV数など数値で可視化されるため、仕事の達成感を抱きやすいと言えます。とくに、成果を出せず苦労した時期が長いと、達成したときの喜びは大きくなるでしょう。

    コンサルタント職

    コンサルタント職は経営戦略や事業計画などで企業の課題解決を手助けする職種です。論理的思考のスキルはプレゼンや課題解決など全ての業務で必須です。

    クライアントである企業の経営や事業に直接関われるため、裁量の大きな仕事ができることが魅力です。

    案件が成功して、コンサルティングした企業が成長する過程を見ることで大きな達成感を味わえます。スタートアップや中小企業が大きく飛躍した場合、やりがいを大いに感じられます。

    営業職

    営業職は自社の商品・サービスを提案し、販売する職種です。顧客ニーズの的確な把握、顧客に理解してもらう提案をするためには、論理的思考が必要です。

    商品・サービスの売り込みを通じて、顧客の課題や要望を解決できるため、自分の仕事が人の役に立っている実感を味わえます。

    顧客から直接感謝や満足の声を聞けるため、モチベーションを高く維持できます。また、商品・サービスの売り上げが企業の業績につながるため、企業の発展に直接貢献していると感じられます。

    プログラマー

    プログラマーは仕様書に基づき、システムが作動するようにプログラミングをする職種です。エラーの原因の追究と解決、プログラミングを組む際に、論理的思考が必要となります。

    プログラムは想定通りに動作するとは限りません。試行錯誤して作成したプログラムが動いたときは大きな達成感を得られるでしょう。

    プログラマーが作成したシステムはスマホアプリや金融機関など人々の快適な生活に欠かせないサービスに使われます。自分が作ったシステムが社会を支えていると実感でき、やりがいにつながります。

    品質管理

    品質管理は合理的かつ低コストで生産されているか、品質を維持できているかをチェックする職種です。不良品の発生や製造工程でのトラブル発生時に、原因の追究と解決策の立案で論理的思考が活かせます。

    品質管理では、不良品の発生率や原材料の使用効率などの数値に向き合うことが必須です。品質を改善できれば、仕事の成果が数値に反映されるため、達成感を得やすいと言えます。

    また、自分の働きが自社製品の品質やブランド力に直結するため、会社に貢献している実感を味わえます。

    研究職から異業種へ転職したい人におすすめの転職エージェント3選

    研究職から異業種への転職活動を実際に始めようとしている人におすすめの転職エージェントを3社解説します。

    いずれも登録は無料のため、気になるサービスを複数登録するとよいでしょう。

    リクルートエージェント

    リクルートエージェントは株式会社リクルートが運営する転職エージェントです。転職支援実績はNo.1を誇っています。

    公開求人数は42万件、非公開求人は30万件(2023年10月13日時点)と、他のエージェントと比較しても、圧倒的に求人掲載数が充実しています。

    数多くの求人を取り扱っているため、自分に合った求人を見つけ出す可能性は高くなるはずです。迷ったら、まずは登録しておきたい転職エージェントです。

    doda

    引用:doda

    dodaはパーソルキャリアが運営する転職エージェントです。公開求人数は22万件程度(2023年10月13日時点)あり、豊富な求人を取り扱っています。

    キャリアアドバイザーとは別に、企業1社ごとに担当がついていることも魅力の1つです。職場環境や求める人物像など企業の採用事情を把握しているため、求人票には載っていない詳しい情報を聞けます。

    企業への理解を深め、有利に転職活動を進めたい人や後悔のない転職をしたい人におすすめの転職エージェントです。

    マイナビエージェント

    マイナビエージェントはマイナビが運営する転職エージェントです。2023年度オリコン顧客満足度(R)調査転職エージェントで第1位を獲得しており、ユーザーから高い満足度を得ています。

    登録者の年齢層は、20代から30代前半が全体の約80%を占めており、若手に支持されていると言えます。

    サービス全体の質を重視したいと考えている20〜30代の転職希望者は、登録を検討してほしい転職エージェントです。

    まとめ|研究職の強みは異業種でも活かせる

    研究職から異業種への転職を希望する場合、これまで培った知識・経験はほぼ役に立ちません。

    しかし、論理的思考や仮説思考、情報収集などのスキルは、他の業種でも役立ちます。面接官に的確にアピールできれば、採用活動において大きなアドバンテージとなります。

    本記事で挙げたスキル以外にも、研究職として歩んできたキャリアの中に希望する転職先でも役に立つ強みがあるかもしれません。転職を考えている人は、まず自身の仕事での経験を洗い出してみましょう。

    また、転職の意思が強い人は、転職エージェントに登録してみましょう。エージェントに相談することで、異なる視点から研究職で培った強みが活きる転職先を見つけられるかもしれません。